2013-10-03

二人の天才-クマムシvs極限環境微生物ー地上最強生物トークバトル!-

月が最も美しく輝くとき、ボクらは一体何を受け取るのだろう。 引力によるなにかだろうか、癒し効果?それとも単に明るさだろうか。きっと生命あるそれぞれの場所に、平等に何かが降り注いだに違いない。

ボクらの部屋には、月光と共にある言葉が降りてきた。


露店でも開いちゃえ




とある生物系イベントに参加したくて、その前売りチケットを発売開始直後に購入し、楽しみにその時を待っていた。地球上で最も ”つおい” とされている生物の二強対決で、それぞれの生物を研究されている男研究者二名がトークで激突するといった内容だ。


9月25日19:30~ 新宿歌舞伎町ロフトプラスワン
クマムシ vs 極限環境微生物ー地上最強生物トークバトル!


出演者

まず極限環境微生物とは、ボクらの感覚からして到底暮らしてはいけないであろう条件(アッツくて大火傷する環境とか、サッブくて凍死する環境とか、息できなくて窒息する環境とか)の中で生活したり増えたりできる微生物たちの総称で、食べ物もガスなど猛毒であったり、増えるのも分裂することであったりと、ボクらとは大きく異なっているため、なんとなくつおそうだ。

対してクマムシは、ちっちゃな本当にちっちゃい生き物だが一応動物で、「かんみんなう」という形態にトランスフォームするとつおくなったり、まぁ、ノーマルでもつおいらしい。食べ物もクロレラというけっこう美味そうな藻類を食べていて、ボクらからは分かりやすく親近感があるのは間違いない。この辺がどうやら若い女性たちからはキャピキャピできる要素らしいのだ。そしてつおくて有名だ。

この生物たちが一体なんだというのか。事の発端は、極限環境微生物というビジュアル的にアレな研究をされてる高井研さん(以下タカイさん)が、カワイくてユルいクマムシを武器に研究成果やクマムシさんというキャラクターグッズまで自ら展開されてる堀川大樹さん(以下ホリカワさん)の女性からのモテっぷりに嫉妬しただけのことであって、特に深い意味はないらしい。
さらにホリカワさんにいたっては、なぜそんなに噛み付いてこられるのかすら分からず、勝負にすら興味がないようだ。
激突というよりは、まだカットされてない巨大な豆腐に、鋭く研ぎ澄ました釘を突き刺すようなモノだと思う(高井研...研ぎ...キタコレ)。
そんな男たちを「まあまあ」となだめるMC役が虫のメレ山メレ子さん(以下メレンゲコさん)である。虫の触覚を突き出すようなカチューシャがトレードマークのメレンゲコさんは虫クラスでもカリスマ的存在であり、知名度(単にTwitterフォロワー数、2013/10/3現在)で言えば三名の中では一番有名人である。

この戦場の一角の物販コーナーでボクら深海マザーも販売させていただくことになった。タカイさんの「露店でも開いちゃえ」の一言がどうやら複数の方の目に留まったようで、クマムシさんグッズを売りさばく怪しげなタルディという会社の薄毛女性さん(以下ウスゲさん)と、タカイさんの著書を出版されているイースト・プレス社マトグロッソ編集部、田中祥子さん(以下サチコさん)にお話を頂いた。当日はこのお二方とボクら、ホリカワさんの著書を出版する新潮社さんで物販コーナーが建設されることになった。

これが当日の6日前のことである。

クマムシ本にクマムシさん(ぬいぐるみ)
微生物本にと来たら・・・・・・


スケおじさん&スケーリーフットだろう


しかし、ボクらはこの時相当焦った。なぜかといえば、ネットショップでちょろちょろ売ってるスケおじさんTシャツの在庫は少なく、約2週間掛けて40匹近く捕獲したスケーリーフットのマグネットもほぼ完売状態であった。あと6日で同じぐらいの量を作れるだろうか。いや出来る、養殖すればイイんだ!ということであっさり38匹(内突然変異1匹)の養殖に成功し、Tシャツも本番前には発注元から受け取ることができた。

代表「やりゃあできんじゃねーか、やりゃあ」


そして台風20号がゆっくりと近づいてくる中、歌舞伎町からは太陽が逃げだし、ジワリジワリと暗黒の街へ姿を変えていった。


ボクらは三名(ボク、代表、代表の母(以下ジュンコ))で会場へ向かい、雑居ビルを目の前にすると、「B1 クマムシ vs 極限環境微生物」の文字を見つけた。どうやら決戦は酒も飲めるし食事もできる地下酒場で行われるようだ。エレベーターで地下に潜ると、既に物販コーナーが建設され始めていた。その空間にはタカイさん、ホリカワさん、メレンゲコさんもいて、それぞれが意外と真剣に入念に「ひとリハーサル」をしている様子だった。みなさんにご挨拶を済ませてから、少しタカイさんとお話する時間があった。
とてもよく覚えてるのは、「深海マザーってなんなん?」と聞かれて、自分でもなんだか分からなかったので上手く答えられなくてその話は流れた、と思いきや後でまた「いやホンマなんなん?」と聞かれたことだった。結局「スケーリーフットで食ってます」ということで事態は収まったのだが、なにかちゃんとした「深海マザーの定義」が必要だと思ったが、今思えば「家具屋です」とハッキリ言えたハズだった。これは家具屋としての自覚が足りなかったためだろう。


物販コーナー建設完了
物販コーナー建設完了


スケーリーフットは鉄のバケツに入れて持ってきた。これはバケツを引っくり返してしまって逃げ出していくスケーリーフットをお客さん自らの手で捕まえて持って帰って欲しいという願望があったので、このような展示になっている。

一通りモノを置かせてもらってふと辺りを見渡すと、上へと続く怪しげな階段を見つけた。見上げるとチラリと部屋のような空間が見える。そこに階段があれば上がってみたくなるのが人間というモノだろう。

頭上に注意しながら上がってみると、選手控え室のような楽屋のような部屋があり、ソファーやら灰皿まで置いてあって、「ここでタバコが吸えるのか!」と喜びを隠せずに浮かれていた。
すると、「カツッ・・・カツッ・・・カツッ・・・」と誰かが上がってくる音が聞こえた。
下から頭を出したのはタカイさんだった。ボクらの階段の音は「カン、カン、カン」といった具合だったが、この方は態度のみならず足音までもが違うのか・・・!さすがは自ら「1031(天才)」と称すだけのことはある!と思いつつ、部屋へお迎えした。というかここは出演者控え室なので、タカイさんたちの部屋であり、ボクらがここにいる方がおかしいのである。

すると、メレンゲコさんやウスゲさんたちも上がってきて、一時的になにかの集会のようになり、いろんな話になったのだが、これは超激裏の激ヤバ話なので残念ながらお伝えすることができないが、そんなことよりもボクは前々から「ウスゲさんがどのぐらい薄毛なのか」がどうしても知りたくてお会いできるのを楽しみにしていた。しかし実際はちっとも薄毛じゃなかったことにとてもガッカリした。そして気付くとタカイさんはどこかへ消えていた。

間髪入れずにホリカワさんが、なんと美しい女性を連れて上がってきた(足音は忘れた)ではないか。もしやタカイさん、ホリカワさんの気配を察知して、気を使ったのか、怖気づいたのか、よく分からないがそのために消えたのか・・・?
ボクはその女性をホリカワさんの奥さまだと思い込んだ。なるほど、タカイさんの嫉妬はここにアリだな・・・などと勝手な妄想を膨らませて楽しんでいた。

すると、あるキーワード群に対して敏感になっているボクの耳が、階段の下から「ワツジ」という言葉を拾った。


聞いてない


実は以前このブログで、8月に開催されたしんかい6500特別見学会のレポートを書いたことがある。その中で散々「ニヤニヤ」とか「一点の闇」とか「チムニーを持つ小指がポイント」とか、好き放題書いてしまったJAMSTECの研究者、必殺飼育人ことワツジさんがこの会場にいらしてるようだ。これはマズイ、とてもヒドイ、どう接したらイイか分からない、必殺されるに違いない、と恐る恐る階段を降りていった。

しかし思いのほか予想は外れてくれて、この日もニヤニヤしながら「レポート読ませていただきました、ヘヘヘ、文章に引き込まれますね、エヘ」と、楽しんでいただけたようだったので、一つ安心することができた。そして、「これだけは着たくなかったんだけどね~!上司命令でさぁ~ヒャヒャヒャ!」といってスケおじさんTシャツを買って、奥へと消えていった。研究者にもパワハラがあるんだね?まあ一人ぐらいしか想像つかないけど・・・と思いながら見送った。

それから同じくJAMSTECの研究者、海洋性ゴリラことカワグチさんも元気よく登場された。ガタイが良くて迫力があるのだが、ナイーブなイメージがあっておもしろい。確かレポートにはそんなにヒドイことは書かなかったと思うが、ちょっと自信がなかったので少しだけ構えてご挨拶をした。いつもボクらからの賄賂(純粋なお礼)を気持ちよく受け取って頂いているので大変お世話になっている。

さてもう一方、お会いするのがとても気まずい方がいらっしゃる。この方も同じくレポートに好き放題書いてしまった一人で、ボクにとって最も恐ろしい存在であり、今日いらっしゃることは


聞いていた


でも今日はお客さまとして来られるとのことだったので、プライバシー絶対厳守のためお名前は伏せるが、無事挨拶を交わし和解(?)することで、一命を取り留めることができた。これで全ての心配を取り払うことができた(最初にあのアイテムを指で摘んで上下に動かしながらの威嚇にはビビったが・・・)。

そうこうしている間に、良い席に座ろうと血相を変えたお客さんたちが雪崩れ込んできた。まるで熱水噴出孔から噴出す熱水を求めるエビのようにも見えた。いよいよバトルスタートの時間が近づいてきたらしい。ボクらのネットショップの常連さんたちもたくさん来られたが、この時は簡単にご挨拶を済ませ、大勢が座席の確保に向けて走っていくのを微笑ましく見届けた。


ボクはこの時、まだ知らなかったんだ
同じ空間にいながらも
視界に入らず
気配すら感じず
完全にノーマークだった
もう一人の天才がいたことを


ここからはJAMSTECが絡むとお馴染みの、ニコニコ生放送の中継が開始されていた。

まずはホリカワさんとメレンゲコさんが入場してきてリングに上がった。
おや?タカイさんが見当たらない。どうしたんだろう。やはりホリカワさんの奥さまが美しすぎてどこかの隅でブルー入ってるのだろうか、などとまた妄想を開始していた。後から知ったのだが、これは演出であって、台本にもシッカリ書いてある。たちの悪いことにボクらは台本を頂いてたのにも関わらず目を通していなかったため、このようなつまらない疑いや妄想をしてしまっていたのだ。

ホリカワさんの「いかにクマムシがカワいいか」講座が始まった。スゴく上手くてテンポもよく客席からも着々と笑いを積み重ねる。会場には徐々にゆるいユル~い空気が充満していった。
完全にクマムシムードになったところで、ついにトドメとなる禁断の教歌「クマムシさんの詩(うた)」が披露されていた。なんと、ボクがホリカワさんの奥さまだと思っていた女性(以下助手ガール)がウクレレを持って歌い手として登場してきた。まったくもって奥さまではなかったのである。

これが問題のうた。




かんぽっ かんぽっ ユルポッ ユルポッ


うたが終わったその直後、突然場内に悪そうなBGMが流れ始めた。
この瞬間に今まで充満していたユル~い空気が一気に地上へと噴き上がり、一瞬にしてブラックな空気が充満し、そこは地底人酒場と化した。

いよいよタカイさん率いる、JAMSTEC暗黒帝国軍がスケおじさんTシャツを着ての入場である。
タカイさん、カワグチさん、ワツジさん、(おや?知らない方がいるぞ?)の4人が電車ごっこのように連なって歩きながら客席を荒らし、グラサンかけたカワグチさんがホリカワさんや助手ガールをdisりまくる。その隙にタカイさんはソロッとリングへと上がり、ゴングが鳴り響いた。


満員御礼、場内大爆笑の様
満員御礼、場内大爆笑の様


「みなさんダメですよ!あんなんで笑ってちゃあ!」といきなりdisる。
「新興宗教クマムシ最強教尊師」、「クマムシよりイベリコ豚」など、あらゆる方向からホリカワさん(以下尊師)をdisりまくった結果、爆笑の渦が大きく渦巻いていた。
トークの中でグッズの話題にもなり、「クマムシさん」に対する極限環境微生物側のキャラはなんなのかということになり、微生物はかわいくないが、スケーリーフットはかわいいという結論が出て、キャラ的には黒いスケーリーフットをモデルにした「海底紳士スケおじさん」ということで落ち着いた。


私の中には極限環境微生物が住んでいます,紳士ですから。
私の中には極限環境微生物が住んでいます,紳士ですから。

そしてボクら「深海マザー」の名前も飛び出した。しかし、最初にボクが「深海マザーってなんなん?」の問いにうまく答えられなかったせいか、「寄生虫企画会社」という表現でご紹介いただいた。きっとこのために聞かれたのだと後で思ったが、たぶん「寄生虫」というのは、お渡しした名刺が良くなかったのだと思う。


深海マザー創作者の名刺
深海マザー創作者の名刺


ここで前半戦終了、一旦休憩となった。

この時間を利用してお客さんの買い物が始まった。スケーリーフットのマグネットが飛ぶように売れていく。キャッシャーはボクらではなく、イースト・プレス社マトグロッソ編集部さんだったので、お釣りやら受け渡しやらの忙しさを見てたら申し訳なくなってしまった。「クマムシさん」の売れ行きも見たかったが、見る間もないほど慌しい時間が流れた。
「これがタカイ効果か・・・!」と思ってたら、タカイさんが目の前を通り、ウチのジュンコがちゃんと楽しんでいるのかどうかをとても気に掛けてくださった。ジュンコは深海はおろか、自然の事にすら興味が薄い。このような濃い場にいるのも不自然なほどだったが、そんな人こそがタカイさんの真のターゲットなのだろう。


後半戦が始まると、奥から尊師、メレンゲコさん、タカイさん、ワツジさん、ニシザワさん(ボクはこの方を知らなかった)が着席していた。

後半開始後のメンツ(物販目線)
後半開始後のメンツ(物販目線)

正面の写真を撮り忘れて顔が見えないが、このニシザワさん、下のお名前をマナブというのだが、巷では「ぶ~まな」と呼ばれて親しまれているらしい。見た目の童顔さから中学生とかいう失礼極まりない声もあったが、本当にそう見えたのだった。
そしてこの方、基本的に座っているだけで、特別目立ったり、面白いことをしゃべったりしないのだが、


おもしろい


もう、いるだけでおもしろい。ちょっと動くだけでおもしろい。この方はタカイさんとは違ったタイプの ”天才” だ、と感じ、ずっとぶ~まなさんのことを観察していた。しかしそのようなことはこんなブログではとても伝えられないし、とても悔しいので、代表が見つけてきたJAMSTECの「QUELLE2013レポート」の写真を見ていただき、少しでもこのおもしろさ味わっていただきたい。直に写真を載せられないのもまた残念だが、リンク先まで飛んでいってぜひ見ていただきたい。


お顔やお話をしっかりご覧になるならこちら
西澤学主席研究者インタビュー動画

美しい寝姿を見るならこちら
ラボで眠る西澤首席

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究極の姿勢を見るならこちら
日モ国際交流

「YES !! We can」の「can」になるに連れて小さくなっていく筆跡はこちら
西澤首席直筆

船の揺れなのか潜行前にだいぶ傾いてしまっている姿はこちら
緊張してスイミングアイしている西澤首席


いかがだろうか


タカイさんもどうやらぶ~まなさんのことはかわいいらしく、リング上でもぶ~まなさんを見る目はとても優しく、にこやかだったのが微笑ましく思えた。
”二人の天才” のコミュニケーション方法は言葉ではなく、「微笑み」なのである。

バトルといえば一番印象的だったのは、タカイさんとワツジさんが、「スケーリーフットのウロコを抜いたことがあるかどうか」の闘いだった。とてもくだらなくてどうでもイイことを、笑いながらも真剣に「私はありますよ、いや、私だってありますよぉ」みたいな感じで闘っていたのがスゴく笑えた。

なぜか極限環境微生物側はリング上に3人もいたせいか、尊師もメレンゲコさんも圧され気味に見えたが、このお二方あってのトークイベントだと言えるほど重要な役割を果たしていたハズだ。メレンゲコさんは中立のMCだが、ちょっと笑いを取ろうとすると、隣からエラい突っ込みが入るので大変だったと思う。
美しさといえば、タカイさんが尊師をトコトンdisりながらも、敬い、称え、そして応援していたことだろう。

お会いしたかった方とも会え、お会いするのを避けてた方とも会え・・・本当に会場一体となって盛り上がりながら楽しめたので、また同じメンツでも良く、勝負もどうでもイイので、第二回戦を望む人たちは多いのではないだろうか。


会場を後にし、カラフルなナイターが照らす黒いスキー場を、アルペンスキーの如くホストという旗門をすり抜けながら、カワグチさんはタダモノじゃない、こないだ見た人じゃない、などと古いイメージをストックと一緒に投げ捨てて、ゴールへと滑走した。




紳士の裏顔
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