2013-11-21

生き物シャッフルなまけっと

生き物が好きで、その対象を何らかの形にしている人はたくさんいるらしい。

好きな生き物の形を緻密に再現しようとする人、特徴を捉えてそれを表現する人、生き物をそのまま利用する人、人という生き物は実にいろんな事をする。それを見て、カワイイ、カッコイイ、キモイ、綺麗、美しいなど、人という生き物は実にいろんな風に感じ取る。

そんな不思議な生き物たちが狭い空間内に詰め込まれてシャッフルされるという計画が立てられた。


生きものまーけっと
なまけっと


ボクはどういうわけか深海生物を作っている。自分になぜ作っているのかを問いただしても、いつも答えは返ってこない。しかし現に作ったモノが存在している。これだけでなまけっとに出展する条件はクリアである。

実はこのなまけっとというイベントには、ある経緯があった。

それまでの募集は先着順だったデザインフェスタ(以下デザフェス)は、2013年11月2日、3日開催のvol.38から抽選に変わり、その抽選結果が出たのは7月1日であった(たしか)。この時、それまでデザフェス常連だった多くの生き物系クリエイターたちが落選したのである。

そこで、デザフェス落選組がなんとデザフェスと同じ日の11月2日に向けてなまけっと計画を始動。あまりの勢いにボクは、落選させられた怒りや怨念が込められたイベントだと思ってそのような発言をしたが、主催者はキッパリと否定していた。これが7月10日のことだった。僅か10日足らずでイベントを企画して、既に多くの人たちの興味を惹きつけていた。この状況を見たデザフェス合格組はとても悔しがっていた。なぜなら、既に高額なデザフェス出展料を納付済みのキャンセルが出来ない状態で、今更なまけっとに出たいとは言えない状況だったからだ。これはボクも痛々しく感じながら様子を見ていた。


なまけっと告知
なまけっと告知


主催者から「ぜひ出展を!」と誘っていただいたのだが、なぜかボクは出展しようかやめようかとウジウジと悩んでいた。そして無駄に3日の時が過ぎ去り、ようやく「よし、出展させてもらおうじゃないか!」と決断し、勇んで申し込もうと思ったら、主催者によるアナウンスが響き渡っていた。


スペースが一杯になりました


なまけっととは別に「エアなまけっと」という企画もTwitter上で開催されていた。これはなんらかの理由でなまけっとに出展できない人たちのための「こんなことイイな、できたらイイな」といった妄想を発言する場であった。
こっちも面白そうじゃないか、と思って主催者に「では、エアなまけっとに出展させてください」と申し込んだ。すると、主催者にあるまじきとんでもない言葉が返ってきた。


出展していただけると思ってスペースをお取りしてあります


これはメールやDMではない。公開されてる情報なのである。色々あるだろう中で堂々とこんな事を発言できるのは素晴らしいと思った(ちょっと申し訳ない気持ちはあるが・・・)。
ということで、主催者のお気持ちを有り難く受け取り、出展することとなった。
本番まで約4ヶ月、なんでも出来てしまいそうなほどの余裕すぎる時間があるのだが、直前になってやはり追い詰められるハメになるのである。

さて、ここであえて主催者の紹介をしておきたいと思う。複数名によるなまけっと実行委員会があり、木登りヤギさん(以下ヤギさん)という女性がその長を務めている。どうやらホネホネ団という怪しげな団体に所属されてるようだ。
このヤギさんのTwitterによる猛烈ななまけっとアピールが始まるのである。宣伝や告知やクリエイターたちの作品の拡散などを、お客になるであろう人たちに向かって怒涛の如く攻め込むという ”女性らしい” ダイナミックな凄まじい行為であった。相当な人数の人たちがこれにやられてしまったことだろう。素晴らしいお勤めであったことは記憶に残っている。


一方、時間的に余裕のよっちゃんダイオウイカなボクら深海マザーは何をしてたかというと、寝ていたわけではなかった。

海底紳士スケおじさんからのグッズ案件」と「しんかい6500特別見学会レポーター義務」という重大任務を終え、自店の商品にドラスケを追加するという半ば強行的な「スケーリーフット一新」を行ってから、「クマムシvs極限環境微生物トークバトル会場物販」で思いもよらぬ本物のドラスケと遭遇して撃沈。なまけっとまで残り一ヶ月、準備期間としてはまだ十分な時間がある。さぁ、行こうかと思い立つと、「ジュンク堂池袋本店出店依頼」による納品で、残りは2週間強となっていた・・・・・・。
よっちゃんダイオウイカは海底に沈み、スカベンジャーたちにキレイサッパリ喰われてしまったのだろう。

ご存知の方もいらっしゃると思うが、深海マザーは生産性が低いことに定評がある。この時点でなまけっとに出せるまともな売り物がスケおじさんTシャツぐらいしかなく、展示品もなしだ。本当にボクも代表も顔が青ざめていたことだろう。
ここで救いの手となったのは、当日遥々遠方から来られるという、お店の常連であるピカゴロドンさん(仮名)の二言だった。

  1. 「フラフラなんです」
  2. 「コスプレはしないんですか?」

これで展示物は決まりだ。
何かが産まれるときは大抵こんな感じである。

早速、1 に対応するため、座れるモノを作り始めた。家具屋ですから。
出来たのがコレ、「スケの腰かけ」と名づけたがあまり浸透しなかった。

高さ2メートルの座れる熱水噴出孔
高さ2メートルの座れる熱水噴出孔

そして、2 の答えはコレ以外にあるわけがない。
「誰でもスケおじさん」と名づけたが、実は数ヶ月前にあの「海底紳士スケおじさん」ご本人がこういうのを望まれていて、名付け親も彼なのである。それがこの機会に出来上がることになった、という裏話がある。

誰でもスケおじさん
誰でもスケおじさん


イベント自体を盛り上げるために、宣伝も必死にした。

わざわざ月まで行ってチラシを貼ってきた
わざわざ月まで行ってチラシを貼ってきた

家具を全部質に入れて、その金でなまけっとへ乗り込む
家具を全部質に入れて、その金でなまけっとへ乗り込む


その勢いでなんとか売り物を仕上げることができたのが、当日の午前3時のことだった。




目覚めと同時に会場へ出展物を積み込んだ車を飛ばしていた。さほど緊張はしていなかったが、道中ではある不安要素との闘いがあった。
一つ目は「座れる熱水噴出孔」の搬入の時に、他の出展者に間違いなくジロジロ見られるだろうという事。二つ目は深海というジャンルがボクらだけだったという事だった。会場ではブース配置が哺乳類系とか虫系とかそれぞれジャンル毎に別れていて、もちろん深海は海系に所属する。一見自然な分類に見えるが、実際はそうではないということの自覚があった。その理由はスケーリーフットやチューブワームなど熱水噴出孔で生きる生物をモチーフにしていたからだった。これらは「化学合成生態系生物」と呼ばれ、ボクらの馴染み深い陸上の哺乳類や鳥類、浅い海の生物などの「光合成生態系生物」と呼ばれている生物とは区別されている。いわゆる深海魚というのも実は光合成生態系なのである。要するに光と闇が混在する空間で「アウェイ感」のようなモノを勝手に感じていたのであった。


会場へ入るとまだチラホラとしか出展者は見えない。ガランとしてかなり広く十分なスペースに見えた。しかし、入り口のところで既にスタンバってるお客さんが数名列を作っていた。

会場入り直後の景色
会場入り直後の景色


ボクらのスペースには椅子が2脚だけ置いてあった。机がない。そう、机をレンタルしないでやってみようという無謀な試みがあったのだ。そこに代表がブース名の書かれた紙を持ってふて腐れ気味に座っていた。もはやアメリカの囚人がいきがって写真を撮られてるようにしか見えない。

囚人52号
囚人52号

いったん囚人を収容し、「座れる熱水噴出孔」の搬入を開始するとすぐに、不安要素だったジロジロニヤニヤ攻撃を受けて足早に皆の前を通り過ぎた。そして手早くブース作りを終えて、完成したのがコレである。

深海マザーブース
深海マザーブース



ショボ...




机を使わずに魅せてやろうだなんて、能力もないのにやるもんではなかった。これなら普通に机を使った方が良かったかもしれない。「いや、挑戦することが大事なのだ」と「無能なくせに」という両者の葛藤が未だ収まることを知らない。このディスプレイから自分のやりたいことができていないという雰囲気がふんだんに出ていることは、経験不足のせいにしておこう。


いよいよ開場となる10時近くになると、なんだか熱気に満ちてきたような気がした。出展者も準備が整ったようで気合が入り始め、お客さんも別室や廊下で今か今かと空間をひしめかせているようだった。後で聞いた話だとお客さんは100人以上待っていて、なんと入場制限まであったようだ。


そして扉が開かれた。

開場と同時にドヤッと人が雪崩れ込む

この時間帯に突撃してくるお客さんは、事前にお目当てのモノがあった人たちがほとんどだっただろうと思うが、それにしても凄まじい人数と勢いであった。ボクらのブースは奥の方だったので、そんな様子をニヤニヤしながら余裕で見ている時間が少しだけあった。しかし、その流れがここに到達した時、このイベントの真の姿が見えてきた。


暑い(熱い)


なんだろうか、この暑さは。
もの凄い数の熱い視線がブースを突き刺してくる。汗(熱水)も噴出してダラダラと流れ落ちていく。人口密度が大変な事になっていて、ギュウギュウなりながらも商品は次々と見られては買われていく。これがなんと、午後1時ぐらいまで永延と同じ状態が続くことになった。
不安要素だった「深海」というジャンルに関しては、まったくもって関係がなく、ダイオウグソクムシはもちろん、スケーリーフットとスケおじさんの知名度が余りにも高くて驚いた。「深海展で見た!」などと言っていた人もいたので、今夏の特別展「深海」QUELLE2013による成果のようなモノなのかと思うと、全然関係ないけど少しうれしかった。

そんな人混みの中に、あくまでボクから見てのことだが、「こんなところで何を・・・」と思うような方たちが紛れていてとてもおもしろい思いをした。某研究機構の方や、某未来館の方、某宇宙の方などなど様々なジャンルの方たちがブースに近づいて来られたので衝撃を受けた。

その中でも最も動揺したのは某大型書店の女性副店長さんがいらしたことだった。実はこの方、ある書店内のあるフロアに科学的マニアックスペースを作り上げ、書籍と共にグッズなどを並べて展開されている。しかし、一見まったくそんなことをされるような方には見えなくて、今まで謎めいていたのだが、ここに来てやっと正体が少し見えたような気がした。

群集 「ガヤガヤ・・・」
代表 「(副店長を見て)オラッ来てんぞ!」
ボク 「えっ?あ、こんなところでなにをされてるんですか(笑)今日は偵察ですか?」
副店長 「いえ、個人的に好きなもので(ニコッ)」
群集 「ガヤガヤガヤ・・・」

いたって単純かつ直球な回答だが、何よりもその笑顔がボクの謎を解いてくれたのだった。そして去り際もニコやかに、人混みの中に消えて行かれた。


さて、例の「座れる熱水噴出孔」と「誰でもスケおじさん」はどうなったかというと、通常はこのように待機している。

待機中ですよ、紳士もなにもありません。
待機中ですよ、紳士もなにもありません。

座れること自体知らない人や、かぶれること自体知らない人、恥じらいなどで、座ってくれる人やかぶってくれる人は少なかったが、それでも中には必ずこのような奇特な方たちがおられるのである。もっとたくさん写真があったハズだが、見つかった中でひとまずみなさまの勇姿を拝借させていただく。








ここでロビンマスクみたいになってる代表があることに気が付く。
「座れる熱水噴出孔」と「誰でもスケおじさん」が出来上がるきっかけとなった人物、ピカゴロドンさんの事だ。この方は「人に話しかけられない症候群」のような症状が出てしまうらしく、ご本人も事前に悩んでおられ、いろいろと解決手段などを練ってあったのだが、あまりの忙しさにボクはその事を忘れ去っていた。

ハッとなって辺りを見渡すが、顔も見たことない人を見つけられるわけがない。きっと既に会場内に来られてるが、話しかけられないでウロウロされてるに違いない、と思いながらボクは一部の人しか知らないある秘密の目印の存在を思い出した。
それはこの海底紳士スケおじさんステッカーである。これをお持ちなことは知っていたので、どこかに貼っているに違いないという仮説を立てて探索を開始した。すると数分後、あまりの発見の早さに笑ってしまったが、案の定そのステッカーがすぐ目の前にあるではないか。すかさず「ピカゴロドンさんですね?」と話しかけるとニコニコしながらコクリと頷かれた。「お待ちしておりました。さあ、お疲れでしょうからコチラの熱水噴出孔に腰かけください」と言うと、思いもよらぬ行動が目に飛び込んできた。


ブン((・ω・`*≡*´・ω・))ブン


首は横に振られていた。
恥ずかしがっておられる・・・しかしよく考えたらこれはごく当たり前な結果なのである。それからしばらく同じ空気を共有した後にピカゴロドンさんはニコニコしながらペコリとして帰って行かれた。

そんなことよりも残念だったのは、ブースに並べられている深海生物商品のすべてはピカゴロドンさんは既にお持ちだったこと。要するにこのイベントのために「新しい売りモノ」を作って並べることが出来なかったということ。残念な思いをさせてしまったかもしれない、という残念感に包み込まれた。言い訳になることなど何もない、という事を普段から叩き込んであるせいか、どんどん絶望感が増していった。

そんなボクの水深を少し浅くしてくれたのは、ピカゴロドンさんが残していってくれたご当地土産だった。食事も摂らず、トイレにも行っていない体に、「キットカットあんこ味」を流し込む。

チョコじゃない

チョコだと思って食べると感覚がおかしくなる。食感や舌触りはチョコなのに、あんこなのである。しかし染み渡る。甘さが毛細血管を伝うように体の隅々まで染み渡っていくのが分かるのである。


夕方ぐらいになるとさすがに人も減り始め、といってもまだこんなに賑わっているのだが、場内の空気も少し緩み始めていた。

ニヤニヤ見ているお客さん
ニヤニヤ見ているお客さん
バケツ一杯あったスケーリーフットもカランとしている
バケツ一杯あったスケーリーフットもカランとしている


売れた。写真では結構残ってるように見えるかもしれないが、すごく売れた。来場者数も1300人超、満足度激高(当店調べ)と素晴らしい内容になったようで良かった。陸も海も深海も見事にシャッフルされた空間になっていたのは来場された方には感じられたと思う。不安だった「アウェイ感」など微塵も感じることはなかった。
それと残念ながら他のブースを見に行く余裕がなくてほぼ見られていないのでご紹介することができない。唯一買えたのはウニの殻に磁石がくっ付いた「ウニマグネット」のみであった。
しかしながら私的な大きな課題がいくつも浮き彫りになり、終わった時の達成感は残念ながらとても薄く感じられた。一番は ”魅せ方” の問題だっただろう。
帰りの車内で代表は口を閉じ、いろいろと察することのあるボクも何かを言葉にすることはなかった。この借りはいつか必ず返さねばならない(倍返しとかそういうのではない)。

来年は関西地方で「第二回なまけっと」が行われるそうだが、この第一回の盛況ぶりは受け継がれ、出展希望者も来場者ももっと増えることだろう。


最後に某売れっ子小説家さんにせっかく写真を撮って頂いたので載せておこうと思います。顔を隠す理由が見つからないのでお許しください。
なまけっと実行委員会と来場者のみなさまに深く感謝いたします。

有り難う御座いました (撮影:某売れっ子小説家)
左:代表 右:ボク
(撮影:某売れっ子小説家)

2013-11-14

クリエイティブなスケおじさんたち 【三スケ目】

著作権も肖像権もありません,紳士ですから。
@sukeojisan


クリエイティブなスケおじさんたち 【三スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【二スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【一スケ目】


海底紳士スケおじさん原画
原画はオクムラサトシさん


新しい順に掲載
普段はJAMSTECからアトランティスへ派遣されているらしい。大晦日になってやっと迎えが来るとは・・・。



非常に原画に近いよくできた消しゴムはんこ。大流行しているのはやはりJAMSTEC内部の話だけなのだろうか・・・。



顔の黒い部分についての謎も多いが、「肉」的なモノなのか、黒い「空間」的なモノなのか、未だ何も解かっていない。



どこかへお買い物に行こうとしているが、そのお金はどこで得たのだろうか。あちこちでさまざまな仮説が浮き上がる。



落とそうとしてるのはスライスされたレモンのようなJAMSTECのロゴマーク。JAMSTEC内部の秘密をこの一杯ですべて味わおうというのか。いろいろ解釈できた瞬間「ゾクッ」とする。



初登場「グロッキー」。海底でのスケおじさんは花のように美しがられ親しまれている様子が分かる。グロッキーはサングラスをかけているが、さらにモザイクをかけなければならないほどの何かが目の部分に隠されているのだろうか。


かぶれば誰でもスケおじさん。生物系創作イベントなまけっとで出展。なんと某JAMSTECの方が二人もかぶられた。内一人はQUELLE2013チーム。そもそも会場に来られてる事が驚きであった。



チューブワームに囲まれてようが、キモち悪いものはキモち悪い。



もうこれは一言しか出ない。「キモち悪い」。



萩尾望都(はぎお もと)を知らなくてアレだが、白き王子のイメージはよく出ていて、貝殻のかぶり方もそれっぽくて素晴らしい。



スマホに腰かけたが、このあと突然姿を消してしまったらしい。しかしどこからともなくまた現れたそうだ。いつもそんな感じのスケおじさん。




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クリエイティブなスケおじさんたち 【二スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【一スケ目】

2013-10-06

クリエイティブなスケおじさんたち 【二スケ目】

著作権も肖像権もありません,紳士ですから。
@sukeojisan


クリエイティブなスケおじさんたち 【一スケ目】がいっぱいになったので、こちらに続きます。
だいたい20作品ごとにページが新しくなっていきます。


クリエイティブなスケおじさんたち 【三スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【二スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【一スケ目】


海底紳士スケおじさん原画
原画はオクムラサトシさん


新しい順に掲載


ジュンク堂池袋本店にて展示中。商品のように包装されてなく、誰にでも持ち帰れるような状態でいるので、いつまで展示されるかは私自身も把握することができない。あと、紳士の象徴とも言えるネクタイの色は白だ。



深海ライフショップ 深海6000m店で近日発売予定のデザイン。ステッカーなどになるのかもしれない。二頭身でカワイイ感じだが、「鉄の頭」を想像した瞬間に今にも倒れそうになる。



これはいろいろ考えさせられたが、笛を吹いた衝撃でウロコを一枚ずつ吹っ飛ばして、それを片手でキャッチするという海底での流行りの遊びだろうか・・・。真相は謎である。



眠れない海底では、マリンスノーを数えるのが常識である。もうあたりまえすぎて話題に上がることすらない。しかし「遺骸」を数え続けるのはなんとも切なくて海底らしく、感慨深いものだ。



デザインフェスタvol.38 A-321ブースで裏取引されると噂のある危険商品「海底中年メモ帳(商品名不明)」。中でも気になるのは熱水噴出孔bot。コォコォ噴いているが、彼はいったいどういう位置づけになるのだろうか・・・。欲しい一品である。



アイドル深海生物と一緒に指にはめて遊べるようだ。しかし全員を片手につけるのは指が足りず、必ず一匹だけハブられるヤツがいるはずだ。その切ない役目を果たすのがスケおじさんなのだろうか。作る気マンマンだった「超極限海底紳士スケオジシャン」みたいなのもぜひ見たかった。



「種を越えた禁断の愛」のような美しい話なのだろうか。私には、「生まれた」というよりも、クマムシさんがスケおじさんの中身を食べちゃって貝殻背負ったヤドカリに見える。



ダーティスケーリーの二次創作・・・という言い方は混乱するが、2回目の登場だ。影が何かを物語っているような気がする、なんとなく・・・。



下の方で掲載された、ブッちぎられたネクタイを誰かに結び直していただいたようですね,紳士ですから。



一方はウロコを失ってただのネクタイ貝に、もう一方はウロコを欲張ってアマゾンの住人のようになってしまったようだ。この方もスケーリーフットを擬人化させているイラストレーター。



破壊の神と化してしまった、両最強生物。原因は相手がいなくなってしまったからだろう。もしくは「見えない敵」が見え始めたか・・・。



クマムシさんを二人がかりで殺そうとしている。武器は「念」だろうか。それとも超高水圧をこういう形で掛けられるのだろうか。しかしこのクマムシさん、必ず攻撃される側に立たされているのはなぜだろう・・・。



下からの続き)ネクタイが出現し、衣類(?)を脱ぎ出した。ウロコはベルトみたいになっていたのか・・・。



下からの続き)ダーティスケーリーを撃破したのか、刑務所へ入れてやったのか分からないが、とにかく嬉しい。ネクタイはあきらめてどっかへ捨ててしまったのか。また生えてくるのかもしれない。



下からの続き)ダーティスケーリーへの復讐が始まる。目からなんか出て攻撃できるらしい。相手は見えない。



一つ下の「深海刑事ダーティスケーリー」のネクタイの締め方に注目してみると、スケおじさんとは違ってかなりラフな感じだ。ダーティスケーリーはきっとネクタイの締め方が気に入らなくて、スケおじさんのネクタイをブッチぎってしまったのだろう。「少年時代の暗い過去」を表現されたらしい。



スケおじさんは黒いスケーリーフット「黒スケ」だが、このカッコイイ刑事は汚いスケーリーフット「汚スケ(ドラスケ)」がモデルだ。「汚い=ダーティー」から「ダーティー・ハリー」が連想されて刑事になったのだと推測される。



「三大極限キャラ」が見事に融合された、つい顔がほころんでしまうイラスト。上の生熱水からは「熱水噴出孔bot」が何かを吐いているように見える。下の丸い蒸し焼き料理は、黒い熱水で調理された「クマムシさん」の蒸し焼きだ。



右のやけに「気をつけ!」な王子の改訂版。スケおじさんはネクタイだが、王子はおリボンだそうだ。しっかりと服も着ているし、前髪のように見える触角がちょっとチャラさを出している。



実はスケおじさん、今のお姿になられるまでに何度か形態が変わっている。この劇画のようなのもその一つ「戦国武将モード」だ。なぜ今の姿に落ち着いたのかは未だ謎である。


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2013-10-03

二人の天才-クマムシvs極限環境微生物ー地上最強生物トークバトル!-

月が最も美しく輝くとき、ボクらは一体何を受け取るのだろう。 引力によるなにかだろうか、癒し効果?それとも単に明るさだろうか。きっと生命あるそれぞれの場所に、平等に何かが降り注いだに違いない。

ボクらの部屋には、月光と共にある言葉が降りてきた。


露店でも開いちゃえ




とある生物系イベントに参加したくて、その前売りチケットを発売開始直後に購入し、楽しみにその時を待っていた。地球上で最も ”つおい” とされている生物の二強対決で、それぞれの生物を研究されている男研究者二名がトークで激突するといった内容だ。


9月25日19:30~ 新宿歌舞伎町ロフトプラスワン
クマムシ vs 極限環境微生物ー地上最強生物トークバトル!


出演者

まず極限環境微生物とは、ボクらの感覚からして到底暮らしてはいけないであろう条件(アッツくて大火傷する環境とか、サッブくて凍死する環境とか、息できなくて窒息する環境とか)の中で生活したり増えたりできる微生物たちの総称で、食べ物もガスなど猛毒であったり、増えるのも分裂することであったりと、ボクらとは大きく異なっているため、なんとなくつおそうだ。

対してクマムシは、ちっちゃな本当にちっちゃい生き物だが一応動物で、「かんみんなう」という形態にトランスフォームするとつおくなったり、まぁ、ノーマルでもつおいらしい。食べ物もクロレラというけっこう美味そうな藻類を食べていて、ボクらからは分かりやすく親近感があるのは間違いない。この辺がどうやら若い女性たちからはキャピキャピできる要素らしいのだ。そしてつおくて有名だ。

この生物たちが一体なんだというのか。事の発端は、極限環境微生物というビジュアル的にアレな研究をされてる高井研さん(以下タカイさん)が、カワイくてユルいクマムシを武器に研究成果やクマムシさんというキャラクターグッズまで自ら展開されてる堀川大樹さん(以下ホリカワさん)の女性からのモテっぷりに嫉妬しただけのことであって、特に深い意味はないらしい。
さらにホリカワさんにいたっては、なぜそんなに噛み付いてこられるのかすら分からず、勝負にすら興味がないようだ。
激突というよりは、まだカットされてない巨大な豆腐に、鋭く研ぎ澄ました釘を突き刺すようなモノだと思う(高井研...研ぎ...キタコレ)。
そんな男たちを「まあまあ」となだめるMC役が虫のメレ山メレ子さん(以下メレンゲコさん)である。虫の触覚を突き出すようなカチューシャがトレードマークのメレンゲコさんは虫クラスでもカリスマ的存在であり、知名度(単にTwitterフォロワー数、2013/10/3現在)で言えば三名の中では一番有名人である。

この戦場の一角の物販コーナーでボクら深海マザーも販売させていただくことになった。タカイさんの「露店でも開いちゃえ」の一言がどうやら複数の方の目に留まったようで、クマムシさんグッズを売りさばく怪しげなタルディという会社の薄毛女性さん(以下ウスゲさん)と、タカイさんの著書を出版されているイースト・プレス社マトグロッソ編集部、田中祥子さん(以下サチコさん)にお話を頂いた。当日はこのお二方とボクら、ホリカワさんの著書を出版する新潮社さんで物販コーナーが建設されることになった。

これが当日の6日前のことである。

クマムシ本にクマムシさん(ぬいぐるみ)
微生物本にと来たら・・・・・・


スケおじさん&スケーリーフットだろう


しかし、ボクらはこの時相当焦った。なぜかといえば、ネットショップでちょろちょろ売ってるスケおじさんTシャツの在庫は少なく、約2週間掛けて40匹近く捕獲したスケーリーフットのマグネットもほぼ完売状態であった。あと6日で同じぐらいの量を作れるだろうか。いや出来る、養殖すればイイんだ!ということであっさり38匹(内突然変異1匹)の養殖に成功し、Tシャツも本番前には発注元から受け取ることができた。

代表「やりゃあできんじゃねーか、やりゃあ」


そして台風20号がゆっくりと近づいてくる中、歌舞伎町からは太陽が逃げだし、ジワリジワリと暗黒の街へ姿を変えていった。


ボクらは三名(ボク、代表、代表の母(以下ジュンコ))で会場へ向かい、雑居ビルを目の前にすると、「B1 クマムシ vs 極限環境微生物」の文字を見つけた。どうやら決戦は酒も飲めるし食事もできる地下酒場で行われるようだ。エレベーターで地下に潜ると、既に物販コーナーが建設され始めていた。その空間にはタカイさん、ホリカワさん、メレンゲコさんもいて、それぞれが意外と真剣に入念に「ひとリハーサル」をしている様子だった。みなさんにご挨拶を済ませてから、少しタカイさんとお話する時間があった。
とてもよく覚えてるのは、「深海マザーってなんなん?」と聞かれて、自分でもなんだか分からなかったので上手く答えられなくてその話は流れた、と思いきや後でまた「いやホンマなんなん?」と聞かれたことだった。結局「スケーリーフットで食ってます」ということで事態は収まったのだが、なにかちゃんとした「深海マザーの定義」が必要だと思ったが、今思えば「家具屋です」とハッキリ言えたハズだった。これは家具屋としての自覚が足りなかったためだろう。


物販コーナー建設完了
物販コーナー建設完了


スケーリーフットは鉄のバケツに入れて持ってきた。これはバケツを引っくり返してしまって逃げ出していくスケーリーフットをお客さん自らの手で捕まえて持って帰って欲しいという願望があったので、このような展示になっている。

一通りモノを置かせてもらってふと辺りを見渡すと、上へと続く怪しげな階段を見つけた。見上げるとチラリと部屋のような空間が見える。そこに階段があれば上がってみたくなるのが人間というモノだろう。

頭上に注意しながら上がってみると、選手控え室のような楽屋のような部屋があり、ソファーやら灰皿まで置いてあって、「ここでタバコが吸えるのか!」と喜びを隠せずに浮かれていた。
すると、「カツッ・・・カツッ・・・カツッ・・・」と誰かが上がってくる音が聞こえた。
下から頭を出したのはタカイさんだった。ボクらの階段の音は「カン、カン、カン」といった具合だったが、この方は態度のみならず足音までもが違うのか・・・!さすがは自ら「1031(天才)」と称すだけのことはある!と思いつつ、部屋へお迎えした。というかここは出演者控え室なので、タカイさんたちの部屋であり、ボクらがここにいる方がおかしいのである。

すると、メレンゲコさんやウスゲさんたちも上がってきて、一時的になにかの集会のようになり、いろんな話になったのだが、これは超激裏の激ヤバ話なので残念ながらお伝えすることができないが、そんなことよりもボクは前々から「ウスゲさんがどのぐらい薄毛なのか」がどうしても知りたくてお会いできるのを楽しみにしていた。しかし実際はちっとも薄毛じゃなかったことにとてもガッカリした。そして気付くとタカイさんはどこかへ消えていた。

間髪入れずにホリカワさんが、なんと美しい女性を連れて上がってきた(足音は忘れた)ではないか。もしやタカイさん、ホリカワさんの気配を察知して、気を使ったのか、怖気づいたのか、よく分からないがそのために消えたのか・・・?
ボクはその女性をホリカワさんの奥さまだと思い込んだ。なるほど、タカイさんの嫉妬はここにアリだな・・・などと勝手な妄想を膨らませて楽しんでいた。

すると、あるキーワード群に対して敏感になっているボクの耳が、階段の下から「ワツジ」という言葉を拾った。


聞いてない


実は以前このブログで、8月に開催されたしんかい6500特別見学会のレポートを書いたことがある。その中で散々「ニヤニヤ」とか「一点の闇」とか「チムニーを持つ小指がポイント」とか、好き放題書いてしまったJAMSTECの研究者、必殺飼育人ことワツジさんがこの会場にいらしてるようだ。これはマズイ、とてもヒドイ、どう接したらイイか分からない、必殺されるに違いない、と恐る恐る階段を降りていった。

しかし思いのほか予想は外れてくれて、この日もニヤニヤしながら「レポート読ませていただきました、ヘヘヘ、文章に引き込まれますね、エヘ」と、楽しんでいただけたようだったので、一つ安心することができた。そして、「これだけは着たくなかったんだけどね~!上司命令でさぁ~ヒャヒャヒャ!」といってスケおじさんTシャツを買って、奥へと消えていった。研究者にもパワハラがあるんだね?まあ一人ぐらいしか想像つかないけど・・・と思いながら見送った。

それから同じくJAMSTECの研究者、海洋性ゴリラことカワグチさんも元気よく登場された。ガタイが良くて迫力があるのだが、ナイーブなイメージがあっておもしろい。確かレポートにはそんなにヒドイことは書かなかったと思うが、ちょっと自信がなかったので少しだけ構えてご挨拶をした。いつもボクらからの賄賂(純粋なお礼)を気持ちよく受け取って頂いているので大変お世話になっている。

さてもう一方、お会いするのがとても気まずい方がいらっしゃる。この方も同じくレポートに好き放題書いてしまった一人で、ボクにとって最も恐ろしい存在であり、今日いらっしゃることは


聞いていた


でも今日はお客さまとして来られるとのことだったので、プライバシー絶対厳守のためお名前は伏せるが、無事挨拶を交わし和解(?)することで、一命を取り留めることができた。これで全ての心配を取り払うことができた(最初にあのアイテムを指で摘んで上下に動かしながらの威嚇にはビビったが・・・)。

そうこうしている間に、良い席に座ろうと血相を変えたお客さんたちが雪崩れ込んできた。まるで熱水噴出孔から噴出す熱水を求めるエビのようにも見えた。いよいよバトルスタートの時間が近づいてきたらしい。ボクらのネットショップの常連さんたちもたくさん来られたが、この時は簡単にご挨拶を済ませ、大勢が座席の確保に向けて走っていくのを微笑ましく見届けた。


ボクはこの時、まだ知らなかったんだ
同じ空間にいながらも
視界に入らず
気配すら感じず
完全にノーマークだった
もう一人の天才がいたことを


ここからはJAMSTECが絡むとお馴染みの、ニコニコ生放送の中継が開始されていた。

まずはホリカワさんとメレンゲコさんが入場してきてリングに上がった。
おや?タカイさんが見当たらない。どうしたんだろう。やはりホリカワさんの奥さまが美しすぎてどこかの隅でブルー入ってるのだろうか、などとまた妄想を開始していた。後から知ったのだが、これは演出であって、台本にもシッカリ書いてある。たちの悪いことにボクらは台本を頂いてたのにも関わらず目を通していなかったため、このようなつまらない疑いや妄想をしてしまっていたのだ。

ホリカワさんの「いかにクマムシがカワいいか」講座が始まった。スゴく上手くてテンポもよく客席からも着々と笑いを積み重ねる。会場には徐々にゆるいユル~い空気が充満していった。
完全にクマムシムードになったところで、ついにトドメとなる禁断の教歌「クマムシさんの詩(うた)」が披露されていた。なんと、ボクがホリカワさんの奥さまだと思っていた女性(以下助手ガール)がウクレレを持って歌い手として登場してきた。まったくもって奥さまではなかったのである。

これが問題のうた。




かんぽっ かんぽっ ユルポッ ユルポッ


うたが終わったその直後、突然場内に悪そうなBGMが流れ始めた。
この瞬間に今まで充満していたユル~い空気が一気に地上へと噴き上がり、一瞬にしてブラックな空気が充満し、そこは地底人酒場と化した。

いよいよタカイさん率いる、JAMSTEC暗黒帝国軍がスケおじさんTシャツを着ての入場である。
タカイさん、カワグチさん、ワツジさん、(おや?知らない方がいるぞ?)の4人が電車ごっこのように連なって歩きながら客席を荒らし、グラサンかけたカワグチさんがホリカワさんや助手ガールをdisりまくる。その隙にタカイさんはソロッとリングへと上がり、ゴングが鳴り響いた。


満員御礼、場内大爆笑の様
満員御礼、場内大爆笑の様


「みなさんダメですよ!あんなんで笑ってちゃあ!」といきなりdisる。
「新興宗教クマムシ最強教尊師」、「クマムシよりイベリコ豚」など、あらゆる方向からホリカワさん(以下尊師)をdisりまくった結果、爆笑の渦が大きく渦巻いていた。
トークの中でグッズの話題にもなり、「クマムシさん」に対する極限環境微生物側のキャラはなんなのかということになり、微生物はかわいくないが、スケーリーフットはかわいいという結論が出て、キャラ的には黒いスケーリーフットをモデルにした「海底紳士スケおじさん」ということで落ち着いた。


私の中には極限環境微生物が住んでいます,紳士ですから。
私の中には極限環境微生物が住んでいます,紳士ですから。

そしてボクら「深海マザー」の名前も飛び出した。しかし、最初にボクが「深海マザーってなんなん?」の問いにうまく答えられなかったせいか、「寄生虫企画会社」という表現でご紹介いただいた。きっとこのために聞かれたのだと後で思ったが、たぶん「寄生虫」というのは、お渡しした名刺が良くなかったのだと思う。


深海マザー創作者の名刺
深海マザー創作者の名刺


ここで前半戦終了、一旦休憩となった。

この時間を利用してお客さんの買い物が始まった。スケーリーフットのマグネットが飛ぶように売れていく。キャッシャーはボクらではなく、イースト・プレス社マトグロッソ編集部さんだったので、お釣りやら受け渡しやらの忙しさを見てたら申し訳なくなってしまった。「クマムシさん」の売れ行きも見たかったが、見る間もないほど慌しい時間が流れた。
「これがタカイ効果か・・・!」と思ってたら、タカイさんが目の前を通り、ウチのジュンコがちゃんと楽しんでいるのかどうかをとても気に掛けてくださった。ジュンコは深海はおろか、自然の事にすら興味が薄い。このような濃い場にいるのも不自然なほどだったが、そんな人こそがタカイさんの真のターゲットなのだろう。


後半戦が始まると、奥から尊師、メレンゲコさん、タカイさん、ワツジさん、ニシザワさん(ボクはこの方を知らなかった)が着席していた。

後半開始後のメンツ(物販目線)
後半開始後のメンツ(物販目線)

正面の写真を撮り忘れて顔が見えないが、このニシザワさん、下のお名前をマナブというのだが、巷では「ぶ~まな」と呼ばれて親しまれているらしい。見た目の童顔さから中学生とかいう失礼極まりない声もあったが、本当にそう見えたのだった。
そしてこの方、基本的に座っているだけで、特別目立ったり、面白いことをしゃべったりしないのだが、


おもしろい


もう、いるだけでおもしろい。ちょっと動くだけでおもしろい。この方はタカイさんとは違ったタイプの ”天才” だ、と感じ、ずっとぶ~まなさんのことを観察していた。しかしそのようなことはこんなブログではとても伝えられないし、とても悔しいので、代表が見つけてきたJAMSTECの「QUELLE2013レポート」の写真を見ていただき、少しでもこのおもしろさ味わっていただきたい。直に写真を載せられないのもまた残念だが、リンク先まで飛んでいってぜひ見ていただきたい。


お顔やお話をしっかりご覧になるならこちら
西澤学主席研究者インタビュー動画

美しい寝姿を見るならこちら
ラボで眠る西澤首席

インチキ漫才師っぷりを見るならこちら
日本人研究者一同

究極の姿勢を見るならこちら
日モ国際交流

「YES !! We can」の「can」になるに連れて小さくなっていく筆跡はこちら
西澤首席直筆

船の揺れなのか潜行前にだいぶ傾いてしまっている姿はこちら
緊張してスイミングアイしている西澤首席


いかがだろうか


タカイさんもどうやらぶ~まなさんのことはかわいいらしく、リング上でもぶ~まなさんを見る目はとても優しく、にこやかだったのが微笑ましく思えた。
”二人の天才” のコミュニケーション方法は言葉ではなく、「微笑み」なのである。

バトルといえば一番印象的だったのは、タカイさんとワツジさんが、「スケーリーフットのウロコを抜いたことがあるかどうか」の闘いだった。とてもくだらなくてどうでもイイことを、笑いながらも真剣に「私はありますよ、いや、私だってありますよぉ」みたいな感じで闘っていたのがスゴく笑えた。

なぜか極限環境微生物側はリング上に3人もいたせいか、尊師もメレンゲコさんも圧され気味に見えたが、このお二方あってのトークイベントだと言えるほど重要な役割を果たしていたハズだ。メレンゲコさんは中立のMCだが、ちょっと笑いを取ろうとすると、隣からエラい突っ込みが入るので大変だったと思う。
美しさといえば、タカイさんが尊師をトコトンdisりながらも、敬い、称え、そして応援していたことだろう。

お会いしたかった方とも会え、お会いするのを避けてた方とも会え・・・本当に会場一体となって盛り上がりながら楽しめたので、また同じメンツでも良く、勝負もどうでもイイので、第二回戦を望む人たちは多いのではないだろうか。


会場を後にし、カラフルなナイターが照らす黒いスキー場を、アルペンスキーの如くホストという旗門をすり抜けながら、カワグチさんはタダモノじゃない、こないだ見た人じゃない、などと古いイメージをストックと一緒に投げ捨てて、ゴールへと滑走した。




紳士の裏顔
紳士の裏顔





出演者書籍





2013-09-07

クリエイティブなスケおじさんたち 【一スケ目】

著作権も肖像権もありません,紳士ですから。
@sukeojisan


聞いたその瞬間、自由、解放感、安心感などに包まれる。そしてその次の瞬間から、無限に広がる暗黒の荒野に一人取り残され、恐怖に支配される。自分は誰なのか、ここはどこなのか、なにをすればいいのか、気が狂いそうになるのだ。

かの海底紳士スケおじさんにも人間を魅了するそのような力があるのだろう。

いつものようにTwitterで深海クラスを監察してると、スケおじさんに感情移入している人たちを見ることができる。その愛情が溢れだしたせいか、荒野に垂らされた糸を見つけてよじ登ろうとする、スケおじクリエイターたちが目につくようになってきた。
スケおじさんご本人もアトランティスの暗い部屋に篭り、闇の中に光る目を輝かせてるに違いない。


以下はTwitterでボクが知る範囲で拾い集めた作品たちですが、実に多様な進化を遂げようとしているように見えるので、今後のスケおじライフが楽しみになります。
もし、創ったのに掲載されてないようであれば、深海マザーに教えていただければすぐさまこのページに掲載します。こちらで新作を見つけたら同じように追加します。それと、作品に対してちょこちょこっと私的ななにかを書かせていただきましたが、作品の意図と違う場合でもお許しください。

クリエイティブなスケおじさんたち 【三スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【二スケ目】
クリエイティブなスケおじさんたち 【一スケ目】



海底紳士スケおじさん原画
原画はオクムラサトシさん



新しい順に掲載

一人のキャラクターが現れれば、その愉快な仲間たちが生まれてくるのは必然だろう。紳士なスケおじさんは「黒スケ」、生まれたての王子キャラには「白スケ」が採用されたようだ。



このイラストレーターの方、普段からよほど何かを溜めこんでるに違いない。それが極限に達した時、このような形でそのエネルギーは放出されるのだろう。



Tシャツのみならずネクタイの中にも入り込んだスケおじさん。下の方にある佐竹さん(@satake_A)の原画(二次原画?)がプリントされたモノ。勤務先や酔っ払った席などでの頭への着用などはウケるだろうが、葬式ではキワどいところだ。



本格陶芸家が創りあげた陶芸作品。2パターンの表情があるようだが、頭だけだとやはり気持ち悪さは否めない。しかしさすがは陶器、質感はとても良さそうに見える。さらにその周りにある黒スケ・白スケも手に取ってみたくなる。




日本語入力キーボードアプリ、simejiのスキン画像。原画が用いられてるのは意外と珍しい。ウザイぐらいのスケおじさんに囲まれて、フリック入力がしづらくイライラして、スマホを壁に投げつける原因になるだろう。



(3枚目)さらに止まらなくなってしまったらしく、2枚目が着色されて「幸せの青い紳士」と題されたが、そこに幸せの雰囲気はなかった・・・が、エネルギッシュな ”なにか” が感じられたのは間違いない。



(2枚目)1枚目に気を良くしたのか、「なんか楽しくなっちゃって真っ暗な部屋で描いた」という絵画。ここで一気に病の度合いがアップした。



(1枚目)突如描かれた絵画らしいが、なんとも味がある。



消しゴムを削って創られたハンコ。お部屋の真っ白な壁に押しまくれば、大増殖したスケおじさんの大量の目が、あなたを紳士的に見守り続けるだろう。



JAMSTEC公式キャラクター「ロッキー」が、JAMSTEC非公式キャラクター「スケおじさん」を捕まえている。「お前のせいでボクはな・・・」のような恨みや妬みの念がよく表現されている。実はしんかい6500がスケーリーフットを捕獲したという単純なモノかもしれないが・・・。




だらしなく太ったおかげで紳士のイメージからは大きく遠ざかったが、しかし、丸みを帯びた感じがカワイイ。なんであろうがカワイイもんはカワイイのだ。今後のグッズ化に期待のかかるイラストである。




原画にかなり近いデザインの食べ物だ。黒い部分はブラックココアパウダーで、パータデコールという手法で焼いて・・・ボクは菓子など作ったことのないので詳しくは作者に聞いてほしい。おいしかったのかどうかは知らない。




通販されているTシャツの商品写真だが、明らかにモデルの方が目立ちすぎている。生ワカメをかぶった「生ワカメン」というらしい。女性からは「イケワカメン」などと親しまれているが、これは作品なのだろうか。




しんかい6500特別見学会のために作られた自作Tシャツ。他にもこのデザインでシールなどがあるらしく、それが闇で流通してJAMSTECの職員が愛用しているという噂がある。




上のデザインが元になったらしいが、普段から深海生物を擬人化させてるイラストレーターによる作品。描き手によって表現が違うという面白さを味わえる。




本気を出すと鉄の鱗で出来た翼が生えて目が赤く発光して赤いサンダーがでて茶色いオーラがでるらしい。どういう時に本気になってしまうのかは未だ謎のままだ。




日本科学未来館で開催されたワークショップ、それゆけ!自分だけの深海生物に使われた水圧実験用の発泡スチロールコップに描かれたらしい。噂では聞いていたが、伸縮自在というのは本当だった。




真夜中に創られたという紙粘土作品で、チムニーの部分は新聞紙粘土だそうだ。突然JAMSTECに送りつけられて、受け取った方を困らせたらしい。




朱野帰子
深海5000メートルへの挑戦 イラスト付き応援メッセージ

Twitterでは投稿されてないが、リンク先へ飛ぶと応援メッセージと共にイラストが見られる。原画を除いた場合、地球上で初めて描かれたスケおじさんだとされている。




スケおじさんご本人が製作したという貴重な初代白地Tシャツ。現在流通はされてないので闇ルートで買うしかないらしい、という噂を聞いたことがある。



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2013-08-28

最終話 眠い部屋 - しんかい6500特別見学会

臭い部屋 - しんかい6500特別見学会からのつづき...


霧の中に見えたのは、子育てに疲れ果てた主婦が、椅子にもたれ掛かって呆然と天井を見上げるかのように座っている多勢であった。

ボクらは、この日最後の部屋となる、トークセッションの空間に迷い込んだ。そして一番最後にそこに座ることになったのだが、2人並んで座れる席は見当たらなかった。アッチ、ソッチ、コッチ、ドッチ?とまごまごしてたら、暑い部屋で代表をサンプルバスケット内へと促した少し恰幅の良い凄腕風カメラマンが「一つズレますよ」と言って、ニコニコしながらペアになるような席を作ってくれた。ボクがお礼を言うと、カメラマンは左隣から「温めておきました」と要らないギャグを飛ばし、ニヤリと笑った。ボクは苦笑いでそこへ座ると、ムアッという熱気を感じた。不愉快な程にそこは温まっていたが、愛を受け取るからにはボクも痛みを伴うべきだと思い、熱が冷めるのを待った。


ヨシザワさんが、この部屋でこれから行われることの大まかな説明をしている。

カワマさん(異名不明)は、元「しんかい6500」のパイロットで、この場の主役を務める。今日は世界の潜水艇についていろんな話をしてくれるそうだが、すっかりテンションを下げてしまっているしんかいレポーターたちは大丈夫なのだろうかと少し心配していた。


ひたすらしゃべり続けるカワマさん
ひたすらしゃべり続けるカワマさん

話が始まると、皆あらかじめ渡された資料にメモを取り始めた。どうやら心配は無用だったようだと安心したその時だった。となりのカメラマンがガクンと堕ちた。それも自分の腹に頭が付くほどにだ。大事なカメラまで手放そうとしている。さっきまであんなに熱を発してたではないか。そのせいでとうとう干乾びて、クマムシの乾眠状態に入ってしまったのか。だとしたらボクのせいかもしれない。やっぱりさっきのは ”愛” だったんだね!?


その間にも話はどんどん進んで行くが、次第に周りの時間も停止していく。ついにその暗黒のなにかがボクの身にまで襲いかかってきた。

実はこの部屋、展示室(前記「臭い部屋」参照)の一角なのだが、ここから見える風景の中に、カワマさんが話に使用するモニターよりも、遥かに大きなモニターが上方に4画面ぐらいあって、そこには深海生物の映像がゆったりと流れ続けていた。


上方には深海生物が蠢いている
上方には常に深海生物が蠢いている

まずこれが第一の大きなネムリン効果である。
ナマコがゆっくりと身体をクネらせて泳いだり、カニがスローモーションでなにかをついばんでいたり、ナガヅエエソがピタリと静止して長いヒレをユラユラと漂わせている。ボクのほとんどはこれに吸い取られ、ゆったりとした気分に浸り、話に集中することができなかった。

しかしこんなこともあろうかと、ボクらはスマホのボイスレコーダーアプリを使って、終始この様子を録音していた。聞き逃したことがあってもこれさえあれば問題ないのだ。帰宅後にその再生をヘッドホンで聴いてみて分かったんだ。その場では気が付かなかったんだが、本当に僅かな音量でヒーリング的な音楽が流れ続けていたのだ。
間違いない、これが第二の大きなネムリン効果である。

ここでおさらいしてみる。
  1. 涼しい(適温)
  2. 暑い部屋での消耗
  3. 尻が温かい
  4. 隣でクマムシ乾眠
  5. 坦々と進む潜水艇話
  6. ゆったり深海生物鑑賞
  7. 無意識に聴くヒーリングミュージック
これだけ有力な条件が揃う中で、眠くならないヒトがいるわけがない。もしいたらそのヒトは深海生物である。代表もちょくちょくボクに無意味なことを話しかけてきたことを考えると、彼女なりに必死に眠気と闘っていたのだろう。

しかしこれは言い訳に過ぎないので、この場を借りてお詫びします。


カワマさん、すみません


一通り話しが終わったようで、クエッションタイムに突入した。しかし、シーンと静まりかえる中で天に向かう指はない。最初にそれをするにはちょっとした勇気がいるものだ。その空気を察してか、すかさず後方から広報の(キタコレ)ヨシザワさんが質問を投げかけた。さすがだと思いつつ、この時ボクはヨシザワさんの方を見なかったが、絶対にメガネがキランッと光ったハズだと、経験から確信してはいるが、今では見なかったことをとても悔やんでいる。

案の定、皆その後からは手を挙げやすくなったらしく、次々とキノコのようにピョコッ、ピョコンと挙がっていった。2、3本カブるぐらいの勢いであった。ボクも質問しようと思ってたことがたくさんあったのだが、眠気に勝てずに時間が終了してしまった。

手の空いてそうな今日お世話になった方たちに、お礼をしてから部屋を出ようとする時に、ボクがずっと欲していたモノをいただいた。それは伝説の潜航に使われた光ファイバーケーブルの切れ端だった。夕日を浴びながらしみじみそれを見つめると、いろんな想いが甦る。それを深く噛み締めながら、待ってくれている大きな箱に乗り込んだ。
そして降りると同時に、ボクらはCoCo壱番屋へ駆け込んだ。


ボクはこの時まだ知らなかったんだ
このあと密かに待っている
エクストリームな仕打ちがあることを


なにかを届けてくれた線
なにかを届けてくれた一本の線




このような機会を与えてくださったJAMSTECの皆様、並びに関係者の皆様に深く感謝いたします。

とても楽しかったので、今後もなにが成されるのか楽しみにしていますが、今回ボクは主に研究員の和辻さん、宮本さん、川口さんとお話させていただきましたが、あの方たちの持つ魅力的な個性をもっと引き出して、それを引っ掻き回せるようなリーダー的存在があの場にはなかったような気がします。もしおられたら、レポーターのみなさんももっと笑えたり気軽に接したり、そして眠りを妨げられた可能性もあると思います。そしてJAMSTECとボクらの距離ももっと縮んだのかもしれません。これからまったく新しい層の人達を引き込む唯一の手段は、もしかしたらそのようなことなのではないか、そう思いました。


これがボクのたった一つの正直な感想です。
有難う御座いました。




2013-08-27

第五話 臭い部屋 - しんかい6500特別見学会

暑い部屋 後編 - しんかい6500特別見学会からのつづき...


空では太陽と雲がせめぎ合う空中戦が行われる。
しかしこの日に限っては、太陽に挑む相手がどこを探しても見つからなかった。

スイカ割りで割られたスイカのように、二手に分かれたしんかいレポーターたちは、大きな旅行カバンを引っ張りながら歩く海外ツアー御一行のように、添乗員が持つ旗だけを頼りに歩き、何処とも分からない建物の中へと入っていった。


涼しい


皆が口を揃えて吐き出す一言である。「ヒャアァァァ」や「ヒョォォォ」という声だけもあった。ボクらからはどんな表現がされたのか覚えていないが、同じ種の生物として、同じようなことを発したハズである。
整備場と違ってここは空調設備があり、日が差し込むような窓も見当たらない。薄暗い空間に深海生物の標本などが並んでいた。どうやら展示室に辿り着いたようだ。

しかしここにはお目当てのチムニーや伝説のエビなどが見当たらない。闇に浮かぶのはゴエモンコシオリエビやハオリムシのような比較的見慣れたモノばかりだったが、もっと視野を広げて見渡すと、奥の方で光を漏らした扉が出迎えてるのが分かった。フッ、あそこに伝説の潜行の成果が眠っているに違いあるまい。ワツジさんの「またボクの説明になっちゃいましたねーエヘヘ・・・」という言葉と共に連れられた第一ワツジ班のボクらは、早く見せて見せて見て見て!と意味不明なテンションの上昇プラス、体の中でキューンと上がっていくモノを感じた。


「まず先に第二ミヤモト班から見学を始めます」


驚愕である。
当然のごとく順番というか番号というか、ね?第一の次が第二だよね?数字って確かそうだよね?でもこの世界には第二が第一を追い越すこともあるんだね?

未だかつて、今日ほど班分けの意味について考えさせられた日はあっただろうか。


とにかくミヤモトさん率いる第二ミヤモト班が、扉の奥へと消えていくのを見届けた。しかし第二ミヤモト班が終了するまで時間があるらしいが、ボクにとっては待ち時間になることはなかった。ここには標本やらジオラマやらの遊び道具がたくさんあった。
今年大ブレイクしたダイオウグソクムシもいた。彼はやはり目立つし存在感があり、かわいくもあるのだが、前々から引っ掛かっているモノがあった。彼は伝説の潜行の日、ニコニコ生放送(以下ニコ生)のスタジオにも登場していたが、個人的にJAMSTECとダイオウグソクムシという組み合わせにどうしても違和感があって仕方ない。JAMSTECと言ったら熱水噴出孔、極限環境、起源のようなコアな部分が専門なのだろうというイメージがボクには染み付いているようだ。彼が嫌いなのではなく、むしろ大好きな深海生物の一種だし、独りで深海底にいたり、水槽内で絶食したりで、ある意味での極限環境生物であるのは承知している。ただ彼がこの場にいるのがなんというか ”カオス” なのである。


正位置はこうなのか、ダイオウグソクムシ
正位置はこうなのか、ダイオウグソクムシ

ワツジさんに「なんか違和感あるんですけど...」と聞いてみた。すると「ねー」と言って同意された。ちょっと、え?と思ったが、よくよく話を聞くと、やはりあの鳥羽水族館でのニコ生以来、人気が凄くて仕方なく置いてるようだった。しかし「触ると結構カタイんですよ」と言っているワツジさんは結構ニヤついていた。結構好きなんですね?


「THE JAMSTEC」的なゴエモンコシオリエビ
「THE JAMSTEC」的なゴエモンコシオリエビ

ついでに公式グッズも売られていたので覗いてみると、”非公式Tシャツ” を扱う立場にあるボクらは、やはり公式Tシャツというモノが気になる。デザインの種類も多く、値段も安いので買ってるヒトも結構いる。こりゃ敵わんとか思ってたら、またまたワツジさんがサイドインしてきて、「JAMSTECはグッズで儲けを出しちゃあイケないんですよ」と教えてくれた。なるほど、このどこからともなく現れる感じといい、コメントといい、ニヤニヤといい、この方は「必殺添乗員」としても活躍できそうではないか。
そうこうしてる内にあっという間に奥の部屋からニコニコしながら第二ミヤモト班がモゾモゾ出てきた。
さあ、いよいよか、第一ワツジ班の突入である。




颯爽と門をくぐると、内側からフワァァァ・・・ンとただならぬ空気が流れてきた。


クサい


しかし初めて嗅いだ匂いではなかった。これまでに、新江ノ島水族館での匂い体験コーナーや、生きているかもしれないスケーリーフット特別見学会のスケーリーフット飼育室でも体験したことがあったのだ。しかしそのどれよりも濃く、新鮮さのある匂いだった。現状この匂いが画面から伝えられないのが残念だが、早く Googleさんとかが匂いを発信できる仕組みを開発してくれるといいなあ、と思った。

それと同時についにヤツの姿が目に飛び込んできた。それは入り口に一番近い場所にあったんだ。最も匂いを放っていたヤツなのかもしれない。最も魅力を放っていたヤツなのかもしれない。ボクにとって最も待ち望んでいたヤツだった。


チムニー


居酒屋じゃあないよ。画面を通しはしたが、伝説の潜行時に研究者が「オヒョヒョヒョヒョォォォ!!!」とか言って豪快になぎ倒していた、世界最深部で噴き続ける熱水噴出孔から持ち帰ったチムニーがすぐ指の先にあったんだ。


チムニーズ
チムニーズ

もちろんその辺にあるただの岩っころではない。
コレにリングをつけて指輪にしてもイイぐらいの美しいモノであったが、それは後でまたお伝えする。
ちなみに左の大きいのがデッドチムニーといって、深海底で既に噴くのを止めてしまったチムニーを持ってきたモノで、右のダブルチムニーが元気に活発に噴いていたモノだ。陸上ではどちらも死体ということになるのだろうか。

突然チムニーを鷲掴みにしたワツジさんが、烈火の如く説明を開始した。皆が一斉にその周りを取り囲んで惹きつけられる。しかしこの中で一人だけ話を聞かずに標本の方に惹きつけられて、かがみ込んで写真を撮っている愚か者がいた。


ワツジ添乗員の小指がポイントだ
ワツジ添乗員の小指がポイントだ

代表・・・・・・。
こんなにも素晴らしいチムニー話が並べられてるのに、一人で全然関係ないスケーリーフットの写真を撮りまくっているのだ。そばにあった虫眼鏡まで使いながら手際よく撮っていく。ただのヲタクではないか・・・。「黒スケの錆び具合を撮りたかった」と後に語る代表は、もうここに呼ばれる日は来ないだろう。救いとしてはこの部屋でUSTREAM中継がされてなかったことだろうか。


黒スケーリーフットの錆 撮影:代表
黒スケーリーフットの錆
撮影:代表

これまで度々「伝説のエビ」というフレーズが登場したとは思うが、エビごときの一体なにが伝説なのかという部分に触れておく。伝説の潜行生中継の際に、光ファイバーケーブルが切れて、映像が途絶えた瞬間があった。前にも書いたが、その直前に「しんかい6500」に乗っていた研究者が「ウッヒャアアアァァァ!!!」とか叫びながら巨大なチムニーを倒壊させたのだ。その沈みゆくチムニーにビッシリとへばり付いていたのがこのエビなのである。その後、ケーブルが切れたのはそのエビの呪いだという噂が広がり、そして伝説は創られた。その研究者が呪われたのかどうか、真相は不明だが、あくまでも噂である。この見学会の後に行われたニコ生の「おかエビ~!深海5,000メートルへの挑戦【「しんかい6500」帰国報告 整備場から生中継】」のタイトルにもある「おかエビ~!」という部分もこのエビにちなんだモノである。


伝説のエビ「リミカリス,ハイビサェ」
伝説のエビ「リミカリス,ハイビサェ」

このリミカリス、写真で言うとほっぺたみたいに見える部分の内側に細菌を共生させていて、栄養源はそこからゲットするという、「ほっぺ牧場」の牧場主ということらしい。熱水噴出孔から見たら通常の生態だと思えるが、ボクらのような人間からみたらやっぱり変態である。


ここでボクにとってサプライズが起きた。
チムニーお触りヨシ!持ち上げヨシ!の時間が用意されてたのだ。触れるとは思っていなかったのでこれは叫びたくなるほど嬉しかった。以下はその喜びを表現した「チムニーラッシュ」だが、ぜひ「チム・チム・チェリー」を口ずさみながら見て欲しい。


チムニー
チムチムニー
チムニー
チムチムニー
チムニー
チムチーチェリー
チムニー
チムチムニー
チムニー
チムチムニー
チムニー
チムチーチェルー
チム兄ぃ
チム兄ぃ

チムニーを触る前に、ちょっとした注意事項があり、ヨシザワさんは「放射性物質など含まれているのでね、軍手を着用ください」という。しかしワツジさんは「素手で大丈夫よ、ハハ」という。これは単に性格の違いと言っていいのだろうか。妙にシックリくる感じもあるのだが・・・。戸惑いながらもボクは「放射性物質」というワードにビビってヨシザワさんの前では軍手で触り、ワツジさんの前では素手で触るという全く良く分からない行動に出ていた。

素手で触るとチムニー表面から大粒の砂状のモノがポロポロと落ちていく。手にもたくさんくっ付くぐらいだ。しかしガッシリとした密度の高さも感じられる。そして持ち上げてみると、グッ・・・!重たいではないか。もっと軽いモノだと思い込んでいたが、予想を遥かに超えた重量感だった。とてもリングにしてアクセサリーを気取れるようなレベルではない。ちょっと女子力の高い女子には絶対に不可能だ。代表ですら無理だったと言っていた。
匂いも嗅いで見ると、うん、臭いね。しかしこの部屋に入ってきた時と比べたら全然臭くなかった。今ではすっかり鼻が慣れていたのだ。
一応耳も傾けてみたが、やはり「コォォォォォ・・・」とは聴こえて来なかった。もっと高みにいかなければ聴こえないのだろう。
しかし、ついにチムニーと濃密に絡み合うことができたのだ!(今思えば、手にくっ付いたヤツを持って帰ってしまえばよかったと悔やんでいる)


このような美しい鉱物の塊が、遥か昔から人知れず深海底で創り続けられてきたのか。ボクはなぜこんなモノに惹かれているのか自分でもよく分からないのだが、単に美しいからだけではないような気がする。それが何なのか。これが本当にボクらの生命や魂の源なのであろうか。

永遠のテーマをブラブラとぶら下げながら、第二ミヤモト班はどうだったんだろうと思いつつ、独りトイレ(小)へと走った。



眠い部屋 - しんかい6500特別見学会へつづく...

2013-08-26

第四話 暑い部屋 後編 - しんかい6500特別見学会

暑い部屋 前編 - しんかい6500特別見学会からのつづき...


オアシスには、満たされた紙コップが大量に置いてあった。皆がその一点に集まり、次々と杯を乾かしていく。ボクは高速で4回手を伸ばし、麦茶2杯、ポカリ2杯を一気に飲み干すと気分が安らいだ。代表も隣で結構グビグビと飲んでいた(さっきまでボクの水まで飲んでたじゃあないか)。あらかじめ用意されていた非常事態用の椅子に座り、一息ついて辺りを見渡した。


すると、さっきからボクの視界に出入りしていた気になる方たちを見つけたので、この絶好の機会を逃すべく、ご挨拶をしに近づいた。

やはりミヤモトさんとカワグチさんだった。Twitterで度々お世話になったり、顔も写真で知っていたのだが、それ以上にこのお二方はボクにとって、もっと分かりやすい格好をしていた。それは初代「海底紳士スケおじさん」Tシャツ(前記参照)を着ていたからだった。初代というのは伝説の潜行の際に初めて登場したデザインのTシャツのことで、白地に大きな柄がプリントされている。そして現二代目のモノは、黒地に少し小さめの柄のモノである。このお二方が着ているのは、スケおじさんが注目を浴び始めた初期のレアモノなのである。二代目スケTが欲しい方はこちら


スケトリオ
スケトリオ


写真はこの場ではなく後ほど別の部屋にて、代表がミーハーっ気を発揮させて一緒に撮って頂いたモノだが、右の変なメガネのモザイクが入ってるのが代表で、変な顔を隠そうとしたらしいが、変である。左からミヤモトさん、カワグチさんなのだが、知的なオーラを持つ上にガタイが良く、やはり ”船乗り” なのだという雰囲気もあった。現場の研究者の凄みが感じられた。

そして当然のようにこのお二方にも異名があった。ボクが思うに、それらはある裏番長的な存在の方が命名してるような気がしてならないが、まったくもって定かではないのでここでは名前を伏せておこう。その方にとってはもしかしたら、このお二方には異名が付けやすかったのかもしれない。そういうお仲間なのだろうと勝手に思い込んでいる。

まずはミヤモトさんの異名だが、


秘法館系ギボシムシ


なんですかねこれ。
良く分からないが、ギボシムシはミヤモトさんの研究対象であり、画像検索すればどんな姿の生き物なのかぐらいは分かるが、とても卑猥な姿をしている。その卑猥さゆえなのか、それともミヤモトさん自身が卑猥だからなのか、卑猥で有名なアノ博物館の名前と見事に融合されている。(ボクは実際にお会いしたらなんとなく意味が分かったような気がした)


続いてカワグチさんの異名


海洋性ゴリラ(絶倫性ゴリラ?)


これは少し分かりやすいかもしれない。海洋性でも絶倫性でもなんとなく。絶妙な調和からか、親しみやすく自然に受け入れられ、心地よくさえ感じるほどだ。しかしご本人は、カワグッチ(Kawagucci)というのがお気に入りのようだ。ブランドの GUCCI が含まれているからだろうか。「Kawaguchi (not Kawagucci)」とか、論文のようなモノにも英名で書かれてあるのをよく見かける。ちなみにTwitterのアカウント名も「@the_kawagucci」だ。

JAMSTECという組織は未だに謎だらけである。


「しんかい6500」の前方へ移動し、緊張したが「どうも、深海マザーです」と恐る恐る声をかけた。するとボクらのことも既に分かっていたような素振りだったので、そのまますんなりと話し始めることができた。間近で初代スケTをマジマジと見つめると、スケおじさんはかなり色あせて薄くなってはいたが、なにか味や風格のようなモノを感じた。現場での風景を想像しながら、これがあのカリブ海での爪あとなのか、やっぱり本場のスケおじさんは一味違うぜ!と思っていたら、「普段着です」とあっさり言われた。なんと仕事着だけではなく私生活でも着用されていて、これを着て普通に街中でもどこへでも行かれるそうだ。これはボクの立場からしたら衝撃の事実であり、見習うべき事でもあった。

するとカワグチさんが、目の前にあるサンプルバスケット(マニピュレーターで掴んだモノを入れるカゴ)を指差して、「乗っかってもイイですよ?」と普通に言う。ボクらの感覚ではそんなことが許されるとは意外なことだったのでちょっと驚いてしまったが、こんな機会はもうあるまいと、迷わず飛び乗ってマニピュレーターに抱きついてみた。


ボクを研究室に連れてって
ボクを研究室に連れてって

さすがはチタン合金、ヒンヤリしていてこの部屋ではとても気持ちがイイ。なかなかの抱き心地である。このまま深い海へと連れて行ってもらいたいぐらいだ。そのままバックドロップを仕掛けようとしてもビクともしない。腕っぷしの強さも問題なさそうだ。異常なし。しかし実はこの腕、例えばチムニーの隙間などに挟まったりして不意に動けなくなってしまった場合に備え、カニのハサミのように根元から「自切」することができるのだ。そして腕だけを置き去りにし、本体だけは逃げ帰ることができるという、なかなか切ない腕なのである。ちなみにその時にサンプルバスケット内に貴重な深海生物などが入ってたとしても、それをも放り出して帰宅するそうだ。

この様子を見たカワグチさんと、しんかいレポーターの凄腕カメラマン風なおじさんが、「そこで寝てもイイんだよ?」と言って代表を煽ると、彼女は覚醒し、勇んでバスケット内へダイブした。さすがは元ダイビングインストラクターである。その光景はボクにはあの深海の巨大ヨコエビが横たわってるようにしか見えなかったが、代表曰く「採取された深海生物の気分になれて良かったわ」と、満足度はかなり高く、良き思い出になったそうな。


巨大ヨコエビ風な捕まり方
巨大ヨコエビ風な捕まり方


実はこの時、天からの救い(休憩時間)はとっくに終わっており、「しんかい6500」の側面でまたサクライさんが汗を噴出させながら、バラスト(重り)などの説明をしてくれていたのだが、前方にいたボクらの耳には何も入っていなかった。大変申し訳ないことをしてしまったとは思っているが、こちらも楽しかったのだ。ミヤモトさんもカワグチさんも一緒にヘラヘラしていたのだ。


ここでちょっと耐圧殻(球形のコックピット)の中が気になった。覗き窓の外側から内側の様子が小さくチラチラと見えるのだ。そこで恐る恐る首を伸ばして覗き込んでみた。ああ、なんかヒトがいるね、狭そうだね、暑そうだね、深海生物たちからはこう見えているんだねぇ、と思って首を引っ込めた瞬間、「ゴスッ!」と上の方から音がした。それと同時に後頭部に痛みも感じた。なにかと思ったら覗き窓の部分が少しえぐれていて、頭上にぶつけるところがしっかりと用意されていたのだ。誰かに「大丈夫ですか?(笑)」と聞かれたが、余りの恥ずかしさに、大丈夫なのかどうかはよく分からなかったが、とりあえず「大丈夫です」と答えた記憶が微かにある。


前方にはデンジャラスゾーンが存在する
前方にはデンジャラスゾーンが存在する


軽く打っただけで特になんでもないのだが、代表は爆笑し、周囲のヒトまで微妙に笑っているではないか。しかも良くみるとボクから少し距離がある。そうか距離をとったのか。関わりたくないということか。アタマがオカシイと言いたいんだね?アタマを違う意味で心配してるんだね?

別にただアタマをぶつけただけだ。


その場を離れ、独りで船体を眺め歩くことにした(ふて腐れたわけではない)。よく見ると至るところに生々しいキズがあり、どれも重度は違えど、それらはなにかを物語っているように感じた。


キズだらけの後部
キズだらけの後部


たまたま近くをフラフラしていたワツジさんに、これは一体どういうキズアトなのか聞いてみた。すると潜行時に海底に降りた時や、チムニー周辺で微妙な操作をする際に方向転換などでぶつけたりすることがあるという。それによって生まれたキズらしい。そういえば伝説の潜行でも操作に関してそんな声が深海から響き渡っていたなあ、とあの時の興奮を思い出した。しかし脆くて柔らかくてボロボロなイメージのあるチムニーごときでこんなにも傷むものなのか。そんなこと言って、実はまだ公開できない未知の生物に攻撃されたとか、無事故とか言って実際事故だらけだったりとか・・・・・・


ボクらはこの時まだ知らなかったんだ
とても浅はかだったんだ

チムニーという物体を
チムニーという生き物を

知らなすぎたんだ




いよいよ次の部屋には伝説の潜行の際にゲットしたチムニーやあの伝説のエビなどが待っている。ボクはいてもたってもいられず、待ちきれずにあのエビは生きて持って帰って来れたのか、とワツジさんに聞いてみた。


「うん、死んでるよ、でも完全に飼育に専念できてたら生かせたね、エヘヘ」


こ、この自信が「必殺飼育人」の異名を取る所以なのか・・・!!!

ここでようやく、第一ワツジ班と第二ミヤモト班に別れ、真の班分けの意味を知るが、なんてことはないのである。異次元を通過したように、入り口とは違う口からゾロゾロと吐き出されて行く。この頃にはあの強烈な西日も少し笑顔を見せていた。


臭い部屋 - しんかい6500特別見学会へつづく...

2013-08-25

第三話 暑い部屋 前編 - しんかい6500特別見学会

前記、大口部屋 - しんかい6500特別見学会からのつづき...


眩いばかりの「しんかい6500」を目の前にすると、整備場の大口がゆっくりと閉じられた気がした。

もしかして、ボクらが今までに主にインターネットなどで得てきた深海関連の知識というのは、JAMSTECの広報活動によって、間違った味や風味が染み付いたモノであって、それらをこの胃の中でじっくりと時間を掛けて消化(リセット)し、それから完全に新しい香り付けをされて吐き出されるのかもしれない、そう感じた。それならば、これから来るであろう未知の流れに身を任せて流されてしまおうと思った。


この部屋は、サクライさん(異名不明)率いる「しんかい6500」運行チームの巣である。多分、触ってはいけないモノや、行っては行けないトコロがあるのだろうが、この時点では区別がつかなかったので、なんかどうしたら良いのか分からずに、オドオドしてしまって落ち着かない中、ヨシザワさんによるチームの紹介が行われた。

「しんかい6500」運行チームのチームワーク
「しんかい6500」運行チームのチームワーク

一番右の「ぴーちゃん」という異名を持つ方は、パイロットのイケダさん。伝説の潜行の時にも深海へ行った女性だ。静かで大人しいそうだが、このむさくるしい男たちに紛れ込めるような、とてもパワフルなオーラを纏っている印象があった。しかしこの写真だけを見ると、皆好き勝手やっていてバラバラであり、もはやチームとは言い難い。でも実際は見た目よりも遥かに一体感があり「しんかい6500」という ”漢” と共に地球という世界を渡り歩いているとのことだ。


チームの自己紹介みたいなのが一通り終わり、いよいよ「しんかい6500」の整備の話に行きたい所だが、その前にちょっと。実はこの状況は、たくさんのヒトビトに見てもらうために、USTREAMによるインターネットで生中継されるという前提で行われる。ちょうどボクらの真後ろにUSTREAM軍が陣取り、ボクらは常に監視されてるような状態で、文字通りの公開整備が行われるのだ。


USTREAM軍
USTREAM軍

まさに狙い通りである。

この日ボクらは、ある呪われた服を着ている。
それはJAMSTEC ”非公認” キャラクター、


海底紳士スケおじさん
謎の紳士なので詳しくはこちら


JAMSTECには、「しんかい6500」をモデルにした、ロッキーというかわいらしい公式キャラクターがいるのだが、どうやらその内部に、彼を引きずり降ろしてやろうと企む、一部の怪しいグループが存在するようだ。ロッキーに対抗するべく、スケーリーフットをモデルに生まれたキャラクター、それが「海底紳士スケおじさん(アトランティス在住)」なのである。一応は「QUELLE2013のキャラクター」と謳っているハズなので、実際はそんなに黒い企みではないのかもしれないが、いずれにせよボクにとってはあまり触れたくない部分である。

これまでの写真にもたびたび写りこんでしまっているとは思うが、今日は代表と共に、胸元にプリントされたスケおじさんのTシャツを着込んでいる。そしてボクはそれを、前後逆に着てバックプリントを装っているのだ(新作ではない)。ゆえに、ボクの後ろにUSTREAM、そのカメラの先にはスケおじさん、という構図ができると見込んでいたのがうまくハマり、ただ単純にそれが嬉しかったのだ。そしてここで何が言いたいのかと誰かに聞かれたら、なんにもないのである。


サクライさんが口火を切った。お題は「しんかい6500ってこうなってるんだよ」。
ボクは機械おんち、科学おんちなので、元々こういう機械みたいなのの説明みたいなのが耳から入りにくい。しかし、伝説の潜行以来、それまで特に興味のなかった「しんかい6500」だったが、その後まあまあ好きになるという大幅な進化を遂げることができたのだ。でもね?それを踏まえてもね?やっぱりボクの頑固な耳は、ある一定のレベルを超えるとパタンと閉じてしまうことがあるんだよ?


そんな「しんぱいレポーター」のボクが、ようやくレポートをし始める。


「しんかい6500」の前方へと集合がかかると、皆こぞってゾワゾワと移動し始めた。サクライさんによるマニピュレーターのコントローラーの・・・ああ、もうダメ・・・。真面目に言うと、マニピュレーターとはヒトで言うと腕にあたる部分で、その短い腕に7つもの関節を持っている。これを自由自在に動かして、ボクの大好きな深海生物やらチムニーやらをゲットするありがたいモノである。これを動かすためのコントローラーの説明なのだが、やはりそのモノよりも、サクライさんという生物に見入ってしまったのだ。


ドボドボと流れてるように見える汗
ドボドボと流れてるように見える汗

この日、整備場の中はとても暑かった。部屋に閉じ込められたヒトビトは揃って汗をかきながら、ハンカチやタオルで顔を拭っていた。しかしサクライさんから流れる滝のような汗がそれらの比ではないことに、ちょっとだけ笑ってしまった。ちょうど志村けんのコントに出てくるような、カツラの内側からドボドボ流れ出てくる水を、無意味にハンカチで拭きながら、なにかギャクを言っている光景が目に浮かんでしまったのだ。しかし、それが日常、それがどうした!と言わんばかりに、その中で発せられる声にも高温の熱が乗っかってきているように受け取れた。きっと吐息もそうとうな温度だっただろう。この写真には、

「ワタシは、しんかい6500が好きなのよ」

そんな気持ちがほぼ偽りなく表現された一枚だとボクは思っている。もちろんそんな熱さで、そんな声で、そんな話し方で、そんな話題の話をされたら、大抵のモノ好きはそれを自然に受け入れて、溶け込むように真剣に聞いてしまうものであり、実際みんなサクライさんを取り囲んで楽しそうにしている美しい光景を見ることができた。しかしここであるモノに目を奪われた。


ボクは見たんだ
その光の中で淀む
まったく異質の一点の闇を


必殺飼育人ことワツジさんのあさって
必殺飼育人ことワツジさんのあさって

レポーターたちを撮った写真に、たまたまワツジさんが紛れ込んでいたのだ。

「ワタシは、深海生物が好きなのよ」

と言わんばかりに、どこか違う方角を向いて何かを見ているようだ、いや、目を背けていると言った方が正しいのか。とにかく映り込んでいたんだ。それがほぼ偽りなく表現された一枚だとボクは勝手に思っている。しかしながら、まだこれは「必殺飼育人」の異名を取る姿の氷山の一角を見たにすぎなかった。


さて、いよいよこの部屋でのメインエベント「コックピットでいただきます」の時間がきた。これは事前情報にあったことだが、抽選で選ばれたたったの1名が、コックピット内から整備の様子や見学者の○○ヅラを見学できちゃうよ、もしかしたらマニピュレーターでサクライさんを捕まえられるよ、という「しんかい6500」ファンには夢のような企画であったに違いない。

するとヨシザワさんがどこからともなく現れて、「抽選ですが、既に御一方決まっておりますので」と言って、ある少年の名前を告げた。しかしボクはこの瞬間のヨシザワさんの言い方、顔色、態度、声質、メガネの色を見逃さ(せ)なかった。


これは一体どういうことなんだ
抽選が無かったとは言ってません


抽選はいつなのだ、それはどんな形式なのだ、自分が当たるに決まってる、あんたら辞退しろ、とかいった思いを封印しながら待ち望んでいたハズだ。さらにはこの「しんかい6500特別見学会」の選別前にも、ボクはマリンスノー(前記参照)の中でこのような希望を多数目撃していた。それに加え、絵に描いたように「子供が選ばれた」ということで、一気にこの部屋は闇に包まれたような気がした。


ここにいるのは大人であって大人ではない
ここにいるのは子供であって子供ではない


ボクはやはり童心のある大人の方が好きだ。しかし子供を蹴落とすような大人は好きではない。素朴で素直な子供が好きだ。しかし嫌に大人っぽい子供は好きではない。難しい問題だが、多かれ少なかれこういった葛藤が、この場にいる大人にも子供の方にもあったハズなのだ。

シモカワ少年が、その葛藤に満ちた海を下目に、冷たい金属の階段をゆっくりと一歩、また一歩と上がっていく。どんな想いで上っているのか。それは希望へなのか、絶望へなのか、分からないまま登頂し、先の見えないコックピット入り口の扉が開かれ、深い穴へ落ちていった。

個人的に、結果的には子供が選ばれて大変良かったと思う。


シモカワ少年をぴーちゃんが優しく導く
シモカワ少年をぴーちゃんが優しく導く

しばらくの間コックピット内から、マニピュレーターウネウネやライトのパチクリ操作、超イイカメラ自慢などが行われていた。みんなウヒャウヒャ、ヒョヒョヒョ、と楽しんでいたのだが、ここで密かにボクらをジワジワと追い込み続けていたある ”危機” が訪れた。


水がない


部屋は暑くなることが予測されるのでそのへん夜露死苦ぅ、と事前情報があった。そしてその通りの暑さだった。いや、ちゃんと750ミリリットルの大きめのペットボトルに水を入れて持参したのだが、これをボクと代表で共有していたため、既にオッパマの時点で半分ぐらいは飲み干していた。それを知りつつも底が尽きるのを恐れ、チビチビと口を濡らす程度で命を繋いでいたのだ。


上方から強烈に差し込む西日

消耗した最大の原因は、「しんかい6500」上方にある窓から照りつける日焼けさせるほどのパワーを持つ西日にあった。これがちょうど見学中のボクらに降り注ぐのだ。見てるだけだとさぞ美しく見えることだろう。美しいモノにはトゲがある、っていうのはここではイイんだよ?

汗が頬を這って落ちていくのが認識できるが、いくら確認しても補給できる残りの水は僅かであった。しかも今日に限って普段あまり水を飲まない代表が横でガブガブ飲んでいるではないか。これは敢えてやっていることなのか、エネルギー残量を気にしているようには見えない・・・ヤバイ。


もうダメだ・・・
意識が遠くなる・・・

ボクはここで逝くのか
それも悪くないな・・・
深海好きだしな・・・

よこすかしんかい・・・

ああ、ここは深海底か・・・
母船がなにか言ってるな・・・
しんかい了解

しんかいよこすか・・・
こちらバラスト投下できず
ドーゾ・・・?



「ではここで、2、3分の強制休憩を命じます」
「ではここで、2、3分の強制休憩を命じます」
「ではここで、2、3分の強制休憩を命じます」
「ではここで、2、3分の強制休憩を命じます」
「ではここで、2、3分の強制休憩を命じます」
「お飲み物も用意してありますので」
「お飲み物も用意してありますので」
「お飲み物も用意してありますので」
「お飲み物も用意してありますので」
「お飲み物も用意してありますので」



ぼんやりと見えたんだ

太陽から逃げられない雲の上で
それを永遠と浴び続ける蓮の上で

黄金にキラめいていたんだ
ヨシザワさんのあのメガネが



暑い部屋 後編 - しんかい6500特別見学会へつづく...